Airbnb、法的根拠の登録義務化へ(内容正否は確認せず)

Airbnbは、2018年6月15日から施行される住宅宿泊事業法(民泊新法)において、仲介業者として登録する意向を表明しました。それに伴い、仲介業者登録に至るための取り組みについても発表しました。

その取り組みの1つとして、ヤミ民泊(2018年6月15日以降は違法民泊)の非表示が行われるということです。

 

 

届出番号など法的根拠の登録必須化

具体的には、ヤミ民泊(2018年6月15日以降は違法民泊)を非表示にするために、運営者(事業者)に対して「合法宿泊施設である法的根拠」の登録を求めています。おそらく、その「合法宿泊施設である根拠」の登録がなければ、検索結果に表示されないようなシステムに変更するのでしょう。これについては、住宅宿泊事業法(民泊新法)施行3ヶ月前であり、事前届出開始である2018年3月15日に、Airbnbに登録している運営者(事業者)に対してメールで通知されたようです。

 

この手続きは、Airbnbの管理画面(リスティングページ)から行うことができるようです。2018年6月15日以降もAirbnb内の検索結果に民泊を表示をするためには、以下のいずれを記入登録しなければならないとしています。

・住宅宿泊事業法の届出番号

・旅館業法の営業許可番号

・特区民泊の認定番号

・イベント民泊

・その他の正当な法的理由

 

 

登録された法的根拠の開示も

またAirbnbは、ここで登録された宿泊施設営業に関する法的根拠を各民泊のページ毎に表示する方針だということです。これにより、行政なども状況を視認できるようになります。

 

 

しかし、番号の正否までは確認しない

届出番号などの宿泊施設営業に関する法的根拠を登録させるところまでは理解しました。しかし、運営者(事業者)が登録する番号や法的根拠について「正しいか否か」は確認しないことも判明しました。また、実は「その他の正当な法的理由」については自由記述形式のようです。

 

 

心配されること

ここまでの話から心配されることは、以下の2通りです。

・嘘の番号等を登録する運営者(事業者)の発生
・意味が通らない「その他の政党な法的理由」を記載する運営者(事業者)の発生

 

違法民泊全件非表示に向けた取り組みとしては、正直少し心許ないと感じます。しかし、大きな一歩であることも事実といったところでしょうか。

 

 

心配不要?観光庁への定期報告義務

実は、あまり一般には知られていませんが、仲介業者として登録した業者は毎年4月・10月に、以下の内容について半年分の報告が義務付けられます。

・住宅宿泊事業者の商号名称又は氏名
・届出住宅の住所及び届出番号
・届出住宅において人を宿泊させた日数

 

前提として、

・仲介業者として登録する全ての業者が、
・掲載している全ての物件について、
・正確に上記を報告してくれて、
・確実に行政側が内容を精査する。

ということであれば、先ほどの「心配されること」は解決されるでしょう。しかし、それぞれの仲介業者がどこまで本気で対応してくれるのか、そもそもいくつの仲介サイトが仲介業者として登録を行うのか。新法施行という蓋を開けてみないことには分かりません。また、民泊の仲介サイトは最早世界中で増殖を続けているため、全ての仲介サイトが仲介業者として登録することはありえないことだけは断言できます。これにより、2018年6月15日以降も違法で民泊を営業したい人々は、仲介業者登録のない(足かせのない)民泊仲介サイトに移動するという事態も発生するでしょう。

 

 

まとめ

以上、Airbnbがこれから住宅宿泊事業法(民泊新法)に向けて取り組む内容の1例でした。実際に、どこまでの威力を発揮するのか、どこまで本気かは新法施行の当日以降に判明することとなるでしょう。ただし、繰り返しになりますが、住宅宿泊事業法(民泊新法)が施行以降も、ヤミ民泊(違法民泊)の数は減ったとしても、なくなる確率は果てしなく0に近いと考えます。ヤミ民泊(違法民泊)の駆逐が進まないと、届出や許認可という厳しいハードルを超えて合法で宿泊施設を運営する方からも不満が生まれるでしょう。今回は民泊業界のリーダーであるAirbnbが、大きな一歩を踏み出すことを応援しつつ、この記事を締めたいと思います。

 

 

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